
こんにちは!KOBE(神戸)売却ナビの恋水です。神戸の賃貸物件では「孤独死」や「自殺」に関する法律相談もあります。近年、少子高齢化や単身世帯の増加に伴い、賃貸住宅内での孤独死が社会問題化しています。こうした事案が発生した際、貸主(オーナー)にとっては精神的なショックはもちろん、経済的損失も大きな問題です。今回は、「賃借人が物件内で孤独死し、かつ長期間放置された場合、貸主は相続人に損害賠償請求できるのか?」というテーマを、裁判例や実務の観点から詳しく解説していきます
自殺が発生した場合の賃貸人の損害と請求可能性
まず孤独死ではなく、自殺が物件内で発生した場合について考えてみましょう。このようなケースでは、貸主はその物件が「事故物件」として扱われることにより、将来的な賃料の値下げや空室リスクを強いられる可能性があります。これに関連しては、以下のような裁判例があります。
判例紹介
東京地裁平成27年9月28日判決では、都心のワンルームマンションで自殺が発生したケースにおいて、以下の損害賠償が認められました:
- 自殺後の最初の1年間:賃料全額相当の損害
- その後2年間:賃料の半額相当の損害 このように、自殺によって事故物件化したことによる減収については、賃借人の相続人に対して一定の損害賠償請求が可能とされています。
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孤独死と長期放置の場合の損害賠償請求の可否
では、孤独死、特に発見が遅れて遺体が長期間放置された場合には、どうなるのでしょうか?この点に関する注目すべき裁判例が、東京地方裁判所平成29年9月15日判決です。
事案の概要
- 賃料10万円のマンションで、賃借人が室内で死亡。
- 発見は死後2カ月半後、死因不明。
- 室内には体液の染み出しが確認され、原状回復費用として50万円以上の支出が必要。
- 貸主は賃借人の両親(相続人)に対して、原状回復費用と今後の空室リスクを見越した1年分賃料の半額を請求。
裁判所の判断
裁判所はこの損害賠償請求を退けました。その理由は以下の通りです。
- 死因が自殺ではなく自然死である可能性が高く、持病などの証拠もない。
- よって、賃借人が自身の死を予見できたとはいえず、善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)違反があったとは言えない。
- 結果として、損害賠償の根拠が欠けるため、相続人にも責任は及ばないと判断されました。
善管注意義務と孤独死の因果関係
裁判例から分かるように、貸主が損害賠償請求を行うためには、賃借人が善管注意義務に違反していたことを立証しなければなりません。
善管注意義務違反が認められるには
- 賃借人が重篤な病を患っていたこと
- 死亡のリスクを十分に認識・予見できたこと
- 適切な管理(定期的な通院・周囲への連絡など)を怠っていたこと これらの事情がない限り、善管注意義務違反を主張することは困難であり、損害賠償請求も難航することが予想されます。
ガイドラインの影響と今後の見通し
2021年10月、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。このガイドラインによれば
- 老衰や病死などの自然死(孤独死を含む)は、原則として告知義務は不要
- ただし、「発見の遅れにより著しく室内が毀損された場合」や「発見が極端に遅れた場合」は、3年間は告知義務あり このように、孤独死であっても長期放置の場合には事故物件としての扱いがされ、貸主にとっては賃料低下リスクや空室リスクが高まる可能性があります。
神戸で賃貸・不動産売却をお考えの方へ
神戸市内に物件を所有するオーナー様にとって、孤独死や自殺などに関するトラブルは今や他人事ではありません。特に、将来的に物件の売却や運用を検討されている場合、事故物件として扱われることで物件価格や賃料が大きく下落するリスクがあります。当社では、神戸市および近郊エリアを中心に、事故物件や空室リスクの高い物件の売却・買取に強みを持っております。また、物件の現状や法的リスクを正確に分析した上で、最適な売却戦略をご提案します。
まとめ
孤独死による損害賠償請求は、自殺と比べて認められにくいのが現状です。特に、善管注意義務違反が認められない限り、相続人への請求は困難と考えられます。判例やガイドラインを踏まえ、賃貸物件の管理体制を強化し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが重要です。
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