【満室経営】入居者条件を考える

賃貸住宅を経営する場合「満室経営」は理想と言えるかもしれません。しかし昨今の状況を考えれば、以下のような悩みをもつオーナーは多いのではないでしょうか。

「現在は満室だが、今後はどうなるか…」
「入居者への条件を検討するほうがよいだろうか…」
「入居者とのトラブルは避けたい…」

賃貸住宅経営者には、相続によりオーナーになった大家さんも存在します。相続により賃貸マンションを引き継いだ新米大家さんの悩みをもとに「満室経営のための入居者条件」を考えてみましょう。

満室経営のための入居者条件を考える

賃貸マンション(3DK)を相続した新米大家さんの悩みは以下のとおりです。

3DKの賃貸マンションを相続した新米大家です。お陰様で3月末に満室になりました。20数年前に親父が「家賃滞納の借主に手を焼いている」「入居審査をしっかりやらないとダメだ」と言っていたのを思い出しました。現在は保証会社なので滞納の不安はないのですが、これから満室経営も厳しくなる中で、自分の都合優先の入居者選択を続けられるとは思えません。入居者の条件を定めることと、家賃滞納やトラブルの発生について、相関関係があれば教えてください。

新米大家さんのお父様の頃は、貸主と不動産会社が家賃滞納問題に対応していました。補書会社の活用が一般的になり、悩みのひとつがなくなったといえます。

保証会社が入居者の審査で最も重視するのは「家賃の支払い能力」でしょう。ひとたび滞納が起これば、最速に手間と費用を奪われます。

さらに「トラブルを起こさないか」という点も重要です。

共同住宅では「他の入居者の迷惑にならないこと」が求められています。万一、異常な行動をとる入居者がいると、周りの借主に退去される可能性もあるでしょう。

その後は空き室が続いてしまうことも考えられます。「トラブルを起こしやすい人の要素」を項目として審査するのは難しく、保証会社の基準だけに頼るのは危険かもしれません。

入居者を見極める意識を貸主側がもつことが大事です。

満室経営とトラブル防止のバランス

満室経営と入居者条件の関係を考えてみましょう。

平成初期の貸主優位のころまで、厳格な基準で入居審査していた時代がありました。例えば勤務状況や家族構成、保証人の有無などです。

その後、賃貸市場が貸主優位に移行して空き室が目立ってきます。対策の一環として入居条件の一部を緩めてきた流れがあります。

家賃滞納は保証会社の活用で解決できるかもしれません。しかし入居条件を緩和すると「トラブルを起こす入居者」を受け入れなければいけない可能性も存在します。

「満室経営のために条件を緩める」ことと、「トラブルを起こす入居者を排除する」ことのバランスを検討する必要があります。

高齢者マーケットとリスク対策

大家さんが躊躇する入居条件には「一人暮らしの高齢者」があります。

高齢者の中には、家を売却して資金を留保しながら賃貸に暮らす人もいるかもしれません。賃貸人として高齢者マーケットが拡大していくわけですね。

マーケットが拡大しているわけですので、大家として検討すべきマーケットであることに異論はないと思います。

ただし「家賃の支払い・健康や認知症の問題・孤独死の恐れ」などのリスクが想定されます。大家さんが満室のために入居条件の緩和を検討するなら、高齢者リスクに向き合ってみることをおすすめします。

もちろん単に「高齢者に貸しましょう」とするのは安易すぎます。しかし検討材料として、満室経営とリスクのバランスを検討する必要はあるでしょう。

大家にとってリスクが伴うのは宿命です。建物という構造物を他人の生活拠点にするので、多かれ少なかれリスクは存在するからです。

高齢者を受け入れない場合でも、以下のようなリスクを回避しなければいけません。

  • 家賃滞納
  • 物件内での事故や事件
  • 地震などの災害に遭う可能性

リスクは0にすることはできず、入居者を受け入れることを決めたときから「リスク回避」を検討してきたはずです。

高齢者を受け入れると決めた場合、受け入れに対するリスクを回避することを検討するでしょう。高齢者以外の入居者を確保する場合でも、高齢者を確保する場合でも「リスク回避」を検討するのは当然といえることでしょう。

そのため「高齢者を受け入れる場合」を真剣に検討してみるのも手段と言えそうです。

リスクマネジメントへの意識を持つこと

高齢者以外に検討すべき入居者には、外国人がいます。子どもが地域の学校に通うような、仕事と生活の基盤がしっかりしている外国人家族なら検討しても良いかもしれません。

もちろんリスク回避の手段を講じる必要はあります。

ただし外国人の入居を拒否した場合、理由によっては人権侵害とされる可能性もあります。法務省が「外国人の人権を尊重しましょう」を掲げているからです。

とはいえ、日本経済新聞が「外国人の入居拒否を禁じる法律はなく、人権侵害の解消進まず」と取り上げるほど、外国人の家探しは困窮しています。

すなわち「リスク回避」の手段を検討できれば、外国人の入居者は多いと言えるのです。満室経営を念頭にいれるなら、外国人入居のリスクも検討すべきかもしれません。

他にも「ペットと暮らしたい」という需要は根強いものです。周囲の入居者からの反対や設備投資などがハードルになりますが、問題を解決できるなら検討できます。

築20年超の物件を経営するにあたって避けたいのは2つです。

  • リスクだけ見て検討せず拒否すること
  • リスクを見ずに準備なしで突き進むこと

リスクを知ったうえで回避する方法を検討し、最終決断する「リスクマネジメント」への認識が賃貸経営にも必要になります。

これからも満室経営と収益改善にむけて取り組んでください。

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