賃貸経営の収益向上とテナント・リテンションとは︖

テナント・リテンションとは

店長の恋水です。みなさんは「テナント・リテンション」という言葉をご存知でしょうか。「テナント・リテンション」は、賃貸住宅や店舗、事務所などの借主を指す言葉で、リテンションは「保持する」を意味します。具体的には、「借主が賃借する目的が快適に達成でき、かつ永く活用してもらうこと」を指し、これが賃貸管理の理想形とされています。なぜなら、賃貸管理は単なるクレーム処理やメンテナンスだけでなく、借主の満足が重要だからです。

賃貸管理は主にクレーム処理や建物・設備のメンテナンスだと思われがちですが、実は借主の満足が重要。賃貸部門では仲介担当と管理担当が分かれており、お客様は誰かという議論があった時、仲介担当は「お部屋を探すお客様」、管理スタッフは「大家さん」と答えます。同じ会社で働くスタッフが異なるお客様に対して気持ちを向けてしまっているので、大家さんと借主は利害が対立することもあります。

大家さんは高く貸したい一方で、借主は安く住みたいと考えています。大家さんは経費を節約したいが、借主は便利な設備を望むことがあります。そこで、管理スタッフは大家さんの利益を代表し、利害関係にある借主と向き合う「テナント・リテンション」が重要といわれています。

この考え方は、借主を尊重して大家さんを二の次にするように見えますが、実は大家さんの収益条件とテナント・リテンションは同じ方向を目指しています。借主の満足が大家さんの事業成功の条件の一つであり、大家さんの利益のために借主の満足に尽くすことは矛盾していません。賃貸管理の中でテナント・リテンションの精神が宿っているのは、大家さんの成功に向けて借主の満足に尽くす姿勢にあります。神戸市中央区の賃貸物件の事例でお伝えしていきます。

例えばクレーム対応…

築10年程度の神戸市中央区にあるマンションの担当になった時に、当時先輩から「賃貸管理はクレームが起きた時よりも、起こる前」が非常に重要だと教えていただいたことがあります。通常は現場で問題を処理し、借主がクレームを言わなくなったら業務完了と思うかもしれませんが、テナント・リテンションの視点ではそのクレームが再発しないように対策を考えます。トラブルが発生しない状態が借主にとって最適な状態です。たとえトラブルを完全に防ぐことが難しい場合でも、被害を最小限に抑える努力を重視します。

もう一つ、トラブル解決の過程で、借主が「ここまでサポートしてもらえるのか」と感心するような行動を心掛けます。これは理想的な状況かもしれませんが、トラブルが起きた際に積極的で効果的な対応をとれば、借主から感謝されることがあります。借主の信頼を得ることが、テナント・リテンションの重要な一環となります。実際に借主から感謝されることは、理想的なテナント・リテンションの成果と言えるでしょう。

更新契約も例外ではありません

その神戸市中央区にあるマンションの契約更新の仕事を任された時も、あえて更新することだけではなく「感謝」を伝えるべきと先輩から教わりました。
賃貸物件には年(更新年は各契約によって違うことがあります)ごとに更新契約が行われます。通常、借主には更新通知を送り、合意文書を郵送などでやり取りし、更新料の入金を確認して業務が終了…という流れですが、更新のタイミングはそれぞれなので、長期間やりとりをしていない借主さんの方もいらっしゃいます。ですが、対応する機会が少ないということは「家賃滞納やトラブルなどなく、クレームもない」理想的な借主さんと言える場合があります。そのような理想な借主さんには長く住んでいただきたいと考えるのが普通です。

このような借主さんには更新契約のタイミングで感謝の気持ちを伝えるといいと言われました。長い間安定して借りていただいた感謝の意を伝え、同時に生活上の問題や要望を確認するといいとも言われました。これにより、借主さんが快適に住み続けるためのサポートができ、良好な関係を築くことができるそうです。確かに更新契約を単なる手続きだけでなく、お互いにコミュニケーションの機会として大切にすることが、テナント・リテンションに繋がると、その当時私も納得した覚えがあります。

もちろん建物と設備のメンテナンスも

建物と設備のメンテナンスも、賃貸管理において極めて重要な業務の一つです。その目的は、大家様の物件価値をなるべく少ない費用で維持し、入居率と賃料条件を高く保つことにあります。例えば、定期点検で設備の不具合を発見し、故障前に処置することは、大家様の費用負担を軽減するだけでなく、借主の不便を未然に防ぐテナント・リテンションの一環となります。

日常清掃によって共用スペースを美しく保つことや、自転車置き場を整理すること、エントランスを草花で飾ることも、同じ考えに基づくものです。実際はここまで簡単にはいきませんが、賃貸管理にテナント・リテンションの精神が宿っているのが理想形です。

物件の築年数や家賃設定によってターゲットは異なりますから、一様に顧客サービスを最上にすることが正解ではないと思います。しかし、常に大家様がわれわれ管理スタッフのお客様であるという前提を忘れず、借主さんが満足できる賃貸管理を提供し続けるべきです。

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