認知症で賃貸物件が動かせない!神戸市の不動産オーナーが今すぐ知るべき家族信託の備え

https://www.kobebaikyaku.jp/wp-content/uploads/2021/06/koimizu-300x300.jpg
店長恋水

こんにちは。神戸市中央区・三宮の不動産会社「KOBE売却&買取ナビ」店長の恋水です。今回は、賃貸オーナー様の将来設計に関わる非常に重要なテーマをお届けします。「知人のオーナーが認知症になって、修繕も新しい入居者の募集もストップしてしまったと聞き不安です」——そんなご相談を実際にいただくことが増えています。神戸市は高齢化が進む都市であり、長年にわたって賃貸物件を所有されているオーナー様の高齢化も現実の課題です。今回は、弁護士が解説する「家族信託」の仕組みと実務について、わかりやすくご紹介します。

認知症で賃貸経営が凍結する——その法的な理由とは?

認知症によるオーナーの判断能力低下は、賃貸経営の「資産凍結」に直結します。これは多くのオーナー様が見落としがちな、しかし非常に深刻なリスクです。

賃貸借契約の締結・更新、大規模修繕の発注、物件の売却——これらはすべて法律行為です。そして、「意思能力」(自己の行為の法的意味を理解する能力)を欠く者がした法律行為は民法上無効とされます。

このため、意思能力を失えば、配偶者や子どもであっても代わりに契約することは原則できず、いわゆる「資産凍結状態」に陥ります。神戸市内でも、長年アパートを所有されてきた70代・80代のオーナー様が多くいらっしゃいます。今は元気でも、将来の認知症リスクは誰にでもあります。「元気なうちにしか備えられない」——これが家族信託の最大の特徴であり、注意点です。

成年後見制度では賃貸経営を守れない理由

認知症発症後の手段としては法定後見制度がありますが、賃貸経営の継続手段としては大きな限界があります。まず、ご自宅や過去に居住していた建物などの居住用不動産の処分(売却・賃貸・抵当権設定等)には家庭裁判所の許可が必要であり、許可手続のため数か月を要し機動的な売却が困難となるうえ、不許可リスクを嫌って買い手から敬遠されるおそれもあります。

自宅ではない収益物件の売却は家裁の許可の対象外ですが、後見制度は財産を減らさない「現状維持」が基本であり、空室対策のための大規模修繕、建替え、借入を伴う再投資、相続税対策としての生前贈与・法人化等の積極的な経営判断が事実上行えません。また、専門職の後見人が選任された場合には、その報酬の負担も生じます。

成年後見制度と家族信託の違いを整理すると以下の通りです。

  • 利用開始:成年後見=判断能力低下後 / 家族信託=元気なうちに契約
  • 家裁の関与:成年後見=あり / 家族信託=原則なし
  • 賃貸経営の柔軟性:成年後見=修繕・売却・再投資は慎重 / 家族信託=契約範囲内で柔軟に対応しやすい
  • 賃料収入:成年後見=本人のために管理 / 家族信託=受益者に帰属
  • 向いている場面:成年後見=財産保護を優先したい場合 / 家族信託=経営継続・承継準備を重視する場合

\不動産の管理や売却などのお悩み、ご相談下さい!/

事前にLINEアプリのダウンロードをされていない方はアプリのダウンロードが必要となります。
当サービスの利用が初めての方は「友だち追加」を行ってください。

家族信託という選択肢——仕組みとメリットをわかりやすく解説

家族信託とは、財産の所有者(委託者)が信頼できる家族(受託者)に財産の管理・運用・処分の権限を託す仕組みです(信託法)。元気なうちに物件の名義(形式的な所有権)を受託者である子どもへ移転し、管理・処分権限を託しておけば、その後認知症を発症しても、信託契約で定めた権限の範囲内で、受託者が賃貸借契約の締結・更新、修繕、さらには物件売却まで行うことが可能になります。

賃料収入は受益者である父に帰属し、生活費・介護費の原資も確保できます。後見制度との最大の違いは、家裁の関与がなく機動的に動ける柔軟性にあります。もっとも、既存ローンがある物件では、金融機関の事前承諾が必要となる場合があるため、信託契約の設計段階から金融機関を交えて確認しておくことが重要です。

家族信託・5つの実務ステップ

  • 信託する財産を決める:対象物件・預金・家賃収入の扱いを整理する
  • 信託契約を作成する:委託者・受託者・受益者、権限の範囲を決める(公正証書での作成が推奨)
  • 信託登記を行う:不動産の名義を受託者へ移す
  • 家賃収入の管理口座を準備する:信託財産と個人財産を分けて管理
  • 金融機関と協議する:既存ローンがある場合は事前確認が必要

家族信託の注意点——紛争予防のために弁護士関与を

受託者への権限集中に対する他の相続人の不信感が生じるような場合、将来、遺留分や残余財産の帰属をめぐる紛争の火種となりがちです。こうした紛争予防の観点から、信託契約の設計段階で弁護士が関与するだけでなく、信託開始後も弁護士が「信託監督人」として受託者を監視・監督する設計が実務上有効です。

信託契約は委託者に意思能力があるうちにしか締結できません。お元気なうちのご検討が肝要です。なお、不動産信託には税法上の留意点もあるため、設計にあたっては税理士等の専門家とも緊密に連携することが重要です。(本記事は2026年5月31日時点の法令等に基づいています。弁護士:北村亮典)

よくある質問(FAQ)

Q1. 家族信託と生前贈与は何が違いますか?

生前贈与は財産の所有権そのものを移転しますが、家族信託は管理・処分の権限だけを受託者に託し、受益権は委託者に残すことができます。認知症対策と相続対策を同時に設計できる点が家族信託の強みです。

Q2. 家族信託にはどれくらいの費用がかかりますか?

弁護士・司法書士への報酬、公正証書作成費用、信託登記費用などが発生します。物件の規模や設計の複雑さによって総額は異なりますが、数十万円程度が目安となることが多いです。詳しくは専門家にご相談ください。

Q3. 既存ローンがある物件でも家族信託はできますか?

可能ですが、事前に金融機関の承諾が必要な場合があります。信託契約の設計段階から金融機関を交えて確認することが重要です。

Q4. 子どもが複数いる場合、受託者は誰にすればいいですか?

受託者は一人にすることが多いですが、信託監督人として他の相続人の関与を設計に組み込むことで、不公平感やトラブルを防ぐことができます。弁護士との相談が重要です。

Q5. 神戸市の不動産で家族信託を設計する際の特有の注意点はありますか?

神戸市は築古マンションが多く、阪神淡路大震災の経験から耐震補強・建替えの需要も高いエリアです。信託契約で建替えや大規模修繕の権限を適切に設計しておくことが、長期的な資産価値の維持につながります。

「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちにこそ、家族信託の準備を進めることが重要です。神戸市中央区・灘区・東灘区をはじめ兵庫県全域で賃貸物件をお持ちのオーナー様、相続・認知症対策・物件売却のご相談はミリオン観光へお気軽にどうぞ。

\不動産の管理や売却などのお悩み、ご相談下さい!/

事前にLINEアプリのダウンロードをされていない方はアプリのダウンロードが必要となります。
当サービスの利用が初めての方は「友だち追加」を行ってください。