インフレ時代の家賃増額請求 ― 借地借家法32条から考える賃料見直しの考え方

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店長恋水

こんにちは。神戸の不動産会社「ミリオン観光」店長の恋水です。本日は、インフレ時代における家賃の増額請求についてお話していきます。近年、物価上昇や建築費の高騰、さらには固定資産税の増加など、不動産オーナーを取り巻く経営環境は大きく変化しています。神戸や兵庫県でも同様で、これまで長く据え置かれていた家賃が、現在の経済状況と合わなくなってきているという相談が増えてきました。しかし、多くのオーナー様が「一度決めた家賃は変更できないのではないか」と思い込んでいるケースも少なくありません。実際には、日本の法律では一定の条件のもとで賃料の増額請求が認められています。今回は、借地借家法の考え方をもとに、賃料増額請求が認められる条件や、実際の交渉の進め方について解説していきます。※この記事は2026年1月31日時点の法令をもとに解説しています。

家賃は原則として簡単には変更できない

賃貸借契約では、契約時に家賃が決められます。そのため、契約後に貸主または借主のどちらかが一方的に家賃を変更することは原則としてできません。ただし、不動産の賃貸借契約は数年から数十年という長期間に及ぶことも珍しくありません。社会情勢や経済環境が変化する中で、契約当初の賃料をそのまま固定し続けると、不公平な状態になる可能性もあります。

そのため法律では、一定の条件を満たす場合に限り、将来に向かって家賃の増額や減額を請求できる制度が設けられています。これが借地借家法第32条に定められている「賃料増減額請求権」です。

ただし注意点として、契約書の中に「一定期間は賃料を増額しない」という特約がある場合には、その内容が優先されることがあります。まずは契約書の内容を確認することが重要です。

賃料増額が認められる主な3つの事情

借地借家法では、賃料が社会状況と比べて不相当になった場合に増額請求が認められるとされています。具体的には、次のような事情がある場合です。まず一つ目は、固定資産税や都市計画税などの公租公課が大きく増加した場合です。地価の上昇などに伴って税負担が増えれば、当初の家賃では収支のバランスが取れなくなる可能性があります。

二つ目は、物価や人件費など経済事情の変動です。近年のように建築費や修繕費が大きく上昇している場合、建物の維持管理コストは契約当初とは大きく異なります。こうした社会経済の変化も賃料見直しの理由になり得ます。そして三つ目が、近隣相場との乖離です。同じ地域の同種物件と比較して現在の賃料が明らかに低い場合、適正な賃料水準へ調整する必要があると判断されることがあります。

神戸の賃貸市場でも、近年は建築費の上昇や中古マンション価格の高騰などにより、賃料相場が徐々に上昇しているエリアがあります。そのため、長期間家賃を据え置いている物件では、周辺相場との差が広がっているケースも見られるようになりました。

家賃増額請求の基本的な流れ

実際に賃料増額を求める場合、いきなり裁判になるわけではありません。通常は段階的に手続きが進みます。まず最初の段階として、貸主は借主に対して増額の意思を伝え、希望する賃料を提示します。この段階では、書面や話し合いによって合意を目指すのが一般的です。多くの場合、更新のタイミングなどで交渉が行われます。

もし双方の話し合いで合意に至れば、新しい賃料で契約を更新する形になります。

一方、交渉がまとまらない場合には、借主は従来の賃料を支払い続けることで契約を維持することができます。ただし、最終的に増額が認められた場合には、差額に利息を加えて支払う必要が生じる可能性もあります。さらに協議がまとまらない場合には、裁判所に調停を申し立てるという手続きに進みます。調停では、不動産鑑定士などの専門家の意見を参考にしながら適正賃料を検討し、双方が納得できる解決を目指します。それでも合意に至らない場合には、最終的に訴訟によって裁判所が適正賃料を判断することになります。

実務では「交渉による合意」が最も重要

もっとも、こうした法的手段は時間や費用がかかるため、実務ではできるだけ話し合いによる解決を目指すのが一般的です。

借主に理解してもらうためには、まず家賃を見直す必要がある理由を丁寧に説明することが重要です。突然通知書を送るのではなく、面談や手紙などで事情を説明する方が円滑に進むことが多いと言われています。

また、固定資産税の納税通知書や近隣物件の募集賃料など、客観的なデータを用意しておくと説得力が増します。感覚的な値上げではなく、根拠を示すことが信頼関係を保つうえでも重要です。さらに、いきなり大幅な値上げを求めるのではなく、数年かけて段階的に家賃を調整する提案をすることも、合意を得やすい方法の一つです。

神戸の賃貸オーナーが考えるべきポイント

神戸の賃貸市場でも、建築費の上昇や修繕費の高騰、固定資産税の変動などによって、不動産経営の環境は変化しています。

長年家賃を据え置いている物件では、現在の相場と大きく差が出ている可能性もあります。そうした場合には、法律上認められている賃料増減額請求の制度を正しく理解し、適切な形で家賃を見直すことも一つの選択肢となります。

ただし、賃料の見直しは単に法律の問題だけではなく、入居者との信頼関係や物件の競争力とも関わってくる重要なテーマです。

神戸で不動産売却・買取を検討されているオーナー様へ

賃貸経営では、家賃の見直しや修繕、税金など様々な判断が必要になります。物件によっては、賃貸として運用を続けるよりも売却を検討した方が良いケースもあります。

当社では神戸エリアを中心に、不動産の売却や買取のご相談を承っています。現在の市場価格の確認や将来の運用についてのご相談も可能ですので、気になる物件があればお気軽にご相談ください。市場環境や法律の変化を理解することが、これからの不動産経営において大きな判断材料になるはずです。

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