不動産を相続する際の手続きや流れについて

店長の恋水です。今回は両親が亡くなった際に発生するのが不動産の相続問題についてお話します。神戸市の案件では中央区といった中心街より郊外の北区や西区といった、比較的年配の方が住まわれている地域で相続の問題が起こるケースが多いです。中央区では生前贈与など、亡くなる前に譲渡されるケースもあります。

実際にどのような流れなのか

多くの人が不動産の相続をした経験がなく、不動産を相続するに当たって一体どんな手続きがあり、流れはどんな感じになるのか全く想像がつかないと思います。そこで今回この記事では、いざ両親が亡くなったあとの不動産相続の際に困らないよう、相続の手続きや流れに関してまとめてご紹介します。

さらに記事の後半では相続後の不動産放置が損な理由や相続する物件の注意点についてもご紹介していきますので、ぜひ知識として頭に入れておいてもらえればと思います。

不動産を相続する際の手続きと流れに関して

いつか両親の不動産を相続する日が来ると頭で分かっていても、なかなか相続にあたっての手続きや流れを把握している人は少ないのが現状です。

そこでここでは、相続するであろう来る日のために手続きや流れに関して下記の順で見ていきたいと思います。

  • 相続人や財産の確認を行う
  • 書類の準備
  • 遺産の分割協議
  • 相続する不動産の名義変更
  • 相続税に関して

早速項目ごとに解説していきたいと思います。

相続人や財産の確認を行う

被相続人が亡くなった場合、死亡診断書に死亡届を添え死亡から7日以内に市区町村に提出する必要があります。その後は葬儀や世帯主変更届、金融機関への連絡、公共料金の解約や名義変更など、さまざまな手続きと並行して、相続の手続きや話し合いも行わなければなりません。

相続に関して話し合いでの理想は全ての相続人が納得する平等な相続ができれば問題ありませんが、平等な相続をすることがいちばん難しいとされています。相続を巡っては親族間であってもトラブルに発展するケースが多発しています。トラブルを発生させない為にも、まずは下記の内容を確認する必要があります。

  • 遺言書の確認
  • 法定相続人の調査や確定
  • 相続可能な財産の調査や確定

これらの調査や確認から順を追って進めていくことが重要です。

書類の準備

相続の手続きには見慣れない書類など膨大な書類を準備しておく必要があります。必要となる書類を下記にまとめましたので参考にしてください。

  • 被相続人が亡くなった日以降の全相続人の戸籍謄本
  • 全相続人の印鑑証明書
  • 出生時から死亡時までの被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の本籍記載がある住民票の除票
  • 遺言書もしくは遺産分割協議書
  • 対象不動産の登記事項証明書
  • 不動産相続対象者の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 全相続人の住民票写し

これらの書類を集めるにはかなりの時間を要することが予想されるため、早い段階から徐々に準備しておく必要があります。

遺産の分割協議

親族間での協議が終了し無事に分割内容が決まったら次は遺産分割協議書の作成に移ります。書式や形式に決まりは設けられていないため、ある程度自由に作成することができます。しかし、土地や建物は登記簿謄本に記載されている通りに記載する必要があります。また書類には全相続人の署名や捺印が必要となります。

相続する不動産の名義変更

続いて相続する不動産の相続登記を行います。不動産を相続した場合、元の所有者(被相続人)の名義を相続人の名義に変更する必要があります。不動産の所有者を変更する手続きを有権移転登記といいますが、相続登記はこの手続きの相続版と覚えておくとよいでしょう。基本的に相続登記手続きは司法書士などの専門家に依頼しますが、自分で行う場合は、下記の手順で手続きが可能です。

  1. 相続不動産の登記事項証明書を取得
  2. 遺産分割協議書の作成
  3. 相続登記申請書の作成
  4. 法務局にて相続登記申請(郵送も可)

上記の流れで必要書類を法務局へ提出したら手続きは完了です。

相続税に関して

最終手続きとして相続発生から10ヶ月以内に相続税の申告・納付を行います。申告期限を過ぎたり、税額が不足したりすると延滞税や加算税が課されることがあります。相続税は基礎控除を差し引いた残額に対して課税されますが、遺産総額が基礎控除以下であれば申告の必要はありません。

不動産の相続時に発生する税金に関して

不動産の相続に当たり一体何の税金が発生するのか分からない方も多いのではないでしょうか。一般的には、被相続人から相続人へ財産を相続した場合相続税が発生します。しかしこの相続税ですが、控除や特例を利用することで軽減することができるため頭の片隅に知識としていれておく必要があります。

相続税評価額について

家や土地における不動産評価額は一体何を参考にすれば良いのか悩んでしまう人は多いと思います。土地の相続税評価額は路線価方式または倍率方式によって決定されます。一般的には売却価格よりも低い金額となりますので、評価額以上に課税される心配はありません。住宅などの建物部分については、固定資産税納税通知書に記載されている固定資産税評価額がそのまま使われます。

相続税の計算方法

不動産の評価額が決まったところで、遺産の総額に対する相続税を計算してみます。ここで注意したいのは、相続するものは必ずしも不動産だけではないということです。相続した財産はすべて相続税の対象となります。不動産だけでなく預貯金や有価証券などのプラスの財産も含まれ、その総額が基礎控除額を超えていれば相続税が課税されます。逆に言えばゼロまたはマイナスであれば相続税はかからず申請も必要ありません。相続税が課税されるかどうかは、基礎控除額を把握することから始めましょう。なお2015年に相続税が改正され基礎控除額が引き下げられたため、相続税の申告対象額も増えているため注意が必要です。気になる相続税の計算方式としては、相続税の基礎控除額=3,000万円+相続人の数×600万円で計算が可能です。

控除や特例に関して

遺産の総額が基礎控除額を超える場合でも、相続税額控除や評価額減額の特例などを利用することで、相続税を低く抑えることができる場合があります。代表的な控除例は配偶者控除と小規模宅地等の特例が挙げられます。

トラブルを回避する遺産分割方法

ここからは相続した不動産を複数の相続人で分割する際の注意点に関して見ていきたいと思います。相続財産が預貯金などの現金である場合、相続人同士の分配が決まれば比較的スムーズに分割ができます。しかし不動産の遺産分割は複雑化しトラブルに発展するケースが散見されます。トラブルを回避するためにも以下の方法が取られます。

  • 現物分割 1人の相続人が不動産をそのまま取得する 
  • 代償分割 1人の相続人が不動産を取得するが他の相続人に相応の対価を支払う
  • 共有      不動産を相続人同士で共有する
  • 換価分割 不動産を売却し、その代金を相続人に分割する

換価分割に関して

相続できるものが実家だけなど分けようがないほど少額の遺産を相続するケースも少なくありません。しかし、長引く不況や増税を背景にささやかな金額でも相続したい人も増加傾向にあります。その結果、資産のない家族や親族までがトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。資産がないから兄弟が仲がいいからといって安心していられないのが実情です。実家に子供が同居・入居する予定がある場合は、現物分割もしくは代償分割の方向で話し合いを進めるとよいでしょう。実家に住む予定がなく、兄弟など複数の相続人がいる場合は、相続財産を売却してその代金を相続人で分ける換価分割を行うことで明確な分配ができ、トラブルを防ぐことができます。

また、換価分割の場合、実際に売却手続きを行える相続人を選定し、選定した相続人が自分の名義にした上で売却手続きを行うことになります。この場合誰が不動産を売却するのか売却価格や期限、誰がどれだけ相続するのかを遺産分割協議で決めておくことが望ましいです。

相続後の不動産放置が損な理由

相続の流れで説明したように、相続発生時に両親が所有していた不動産を譲渡する場合、税金が発生します。さらにその不動産が自分たちの住居でない場合、日々の管理も難しくなります。しかし、管理が難しいからといって不動産を放置しておくのは得策ではありません。その間も固定資産税を払い続けなければなりません。また一戸建てであれば傷んでしまい、マンションであっても価値はみるみるうちに下落していきます。解決策として考えられるのは、相続した不動産を売却することです。親と離れて暮らしている方、すでに不動産を相続したが使っていない方は、売却することをおすすめします。下記では売却に関して基礎知識をお伝えしていきます。

相続登記手続きに関して

売却して手放そうと思っても、相続登記をしなければ売却することはできません。相続登記に関してはいつまでに完了しなければならないといった期限は決まっていません。そのため被相続人の死後もそのまま土地や家屋の名義を被相続人のままにしてしまうことがあります。相続登記によって名義を変更しない限り、不動産を売却できないため相続登記は必ず手続きをする必要があります。相続登記をおこなわなかったが故に発生するデメリットは売却ができないと言った他に下記のデメリットが挙げられます。

  • 他の相続人が自分の取り分(法定相続分)だけを勝手に登記・売却する
  • 不慮の事故があった場合、不動産の補償を受けられなくなる
  • 将来相続人が増える可能性がある

通常であれば司法書士に依頼しますが、自分で行うことも可能です。

譲渡益手続きに関して

相続した不動産であっても、その不動産を売却した際の利益(譲渡益)には課税されます。忘れずに確定申告を行う必要があります。また、譲渡所得の申告には譲渡した不動産の取得費と減価償却費が必要です。減価償却費を計算するためには、取得年月日が判明している必要があります。しかし、相続した不動産の場合、相続人がその不動産の情報を持っていないことがあります。

減価償却費と取得費を計算するためには、不動産を購入した時の売買契約書を探すことが望ましいです。

しかし売買契約書が見つからず、どうしても取得費を求めることができない場合は、売却時の譲渡価格5%相当額を取得費として使用することができます。

譲渡税軽減に関して

相続税の申告は原則として、被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。仮に被相続人が2月6日に亡くなった場合、申告期限は同年12月6日であり、相続税もこの期間内に納付しなければなりません。したがって、不動産を売却するつもりでも相続税の支払いに追われることになります。さらに、相続した不動産の売却益がある場合は、譲渡所得税の申告や納付をしなければなりません。相続税と譲渡税を同時に支払うことになるため二重課税されているように感じてしまうと思います。

そこで、相続税の取得費加算の特例により、相続税の申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合に限り、一定の相続税額を取得費に加算することができるようになっています。この仕組みによりこの仕組みにより相続税の一部を取得費に加算でき譲渡益を削減し節税につなげることができます。

相続する物件の注意点

不動産を相続する際は、物件ごとに注意点があります。今回は土地のみ・戸建て・マンションを相続する場合の注意点を下記で見ていきたいと思います。

土地のみ相続する場合

土地の相続は建物がない分、比較的簡単ですが、土地を分割する際には注意が必要です。相続時に土地を均等に分割したとしても、土地の価格は常に一定ではなく変動するため、価格が上昇すると不満を持つ相続人が出てくる可能性があります。土地の分割について話し合う際には、将来の価格変動についても触れておく必要があります。

戸建てを相続する場合

戸建て住宅を相続しても、自分で別の住宅を所有している場合、誰も使っていない空き家になってしまうことがあります。このような場合、注意したいのが、特定空き家に指定される可能性があることです。特定空き家に指定されると、小規模宅地等の特例の対象外となり、固定資産税が4倍となります。固定資産税は毎年支払わなければならないものなので、空き家のままであれば売却などの処分を検討するべきと言えます。

マンションを相続する場合

マンションを相続して住む予定がない場合、賃貸にして家賃収入を得ることができますが、建物が古いと入居者を集めるのが難しくなるので注意が必要です。マンションをリフォームしてから賃貸に出すか、賃貸経営をする予定がないのであれば売却するのが良いと言えます。

まとめ

この記事では不動産を相続する際の手続きや流れについて解説してきました。相続した不動産の売却には遺産分割協議や相続登記など、さまざまな取り決めがあります。相続人が集まる機会は限られているため、各種手続きはなるべく早い段階で行うのが得策です。特に相続人が複数いる場合、一度タイミングを逃すと交渉が難航する可能性があるため注意が必要です。親族間で解決が難しい場合は1度専門家などに相談するのも得策だと言えますね。

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