ペット可物件で起こるトラブル

 犬・猫の推計飼育頭数は全国で1600万頭を超えています。犬が約710万頭、猫が約890万頭ということで、2014年に逆転してから猫が犬を上回っています(2021年、一般社団法人ペットフード協会調べ)。今回は、ペット可物件で起こったトラブルについてレポートさせていただきます。

ペットの出す音は近隣住民とのトラブルの種になることが多い

ペット可マンションではペットの出す音に関する近隣住民とのトラブルが良く起こります。代表的なものでは、ペットが移動する時の音や遠吠えなどです。ペットと暮らす家族の下に住む住民には、ペットがフローリングを駆け回る足音や、フローリングに爪が当たる摩擦音などが発生します。ペット可住宅では、仕方ないことですが、元気なワンちゃんや猫ちゃんが走り回る音は、ペットを飼っていない家族にとっては気になる音かもしれません。そのためペット可物件といえど、近隣住民への配慮として、防音マットやカーベットを敷くことが重要となります。また動き回る音だけではなく、ペットの泣き声にも注意が必要です。

「変な音か声が聞こえる」という苦情が、最上階の入居者から届きました。夕方頃に聞こえるとのことです。騒音苦情は現地で確かめるのがセオリーなので行ってみると、たしかにくぐもった音(声︖)が聞こえました。思った通りのワンちゃんの遠吠えでした。「ワ

オーン」という元気な遠吠えではなく、声はか弱い印象を受けました。この部屋の借主は若

いご夫婦で、日中は二人とも仕事に出ています。帰宅時間に訪問して奥様に告げると、「遠吠え……︕︖」と驚かれました。犬種はコーギーでウェンディという名のワンちゃんは、前の飼い主に虐待されて保護施設にいたところを譲り受けたそうです。「やっと人間に慣れてきたところで、寂しくなって吠えるのかもしれません」と涙ぐんでいました。遠吠えをやめさせる方法を保護施設に相談することと、必要ならトレーニングを受けさせると約束してくれました。その後、保護施設のアドバイスを受けて、朝と夜の2回に散歩を増やすことで、すぐに遠吠えは聞こえなくなりました。

お留守番をしているワンちゃんや、猫ちゃんの様子はどうしてもわかりませんので、近隣住民の方からの情報がより飼い主との絆を深めることもあります。

玄関の周りにペット特有の臭いが

別のペット可マンションでは、ペットを飼っていない借主から「玄関前で動物の臭いがキツイ」との苦情 がありました。隣の201号室にはフレンチ・ブルドッ グが飼われていたはずです。戸口の前に行くと玄関ドアが30cmほど開けっ放しになっていて、かすかに特有 の臭いが漂ってきます。私が「かすかに」と感じたの は、自分もペットを飼っているので臭いに慣れている からかもしれません。飼っていない人にしてみれば 「キツイ臭い」と感じるのでしょう。また、コロナ対策で換気をしているためなのか、日中はサッシと玄関 を開け放していることも理由の一つでしょう。201号 室の間取りは、入ってすぐ右側に洗面・脱衣室があ り、そこにペットシーツを敷いてフレンチ君のトイレ としていました。排泄は行儀よく済ませるそうです が、これでは玄関付近に臭いがこもるはずだと思いました。トイレの場所を変えられないか、玄関の開けっ放しをやめられないか、と提案をして、渋々ですが受け 入れてもらいました。借主さんはワンちゃんの臭いに 慣れていて気にならないのですが、日常生活にペット がいない方は、この臭いを我慢するのが難しいのでしょう。飼う人と飼わない人が同じ棟に暮らす賃貸住宅では気を付けるべきポイントだと思います。

意外と知らない共用部分のルール

共用部分とはマンションの住民が居住区以外の共有スペースを指します。ペット可物件ならではのルールが存在します。ペット可物件では、ペットが共用部分を、排泄物などで汚さない、必要以上に傷つけないために、共用廊下を歩かせることを禁止にしているマンションがほとんどです。

そこで、「ゴールデ ン・レトリバーが歩いている︕」というビックリする 情報が入りました。すぐに現場に行くと、犯人は柴犬 を飼っている一番奥の106号室、という証言を受けて 訪問してみました。話を伺うと「ペット仲間で仲良く している60代の友人が入院してしまい、3ヵ月間だけ 面倒をみたい。付近に身寄りもないので、このままで は施設に預けるしかない」という説明です。真面目な ご夫婦でうそをついているようには思えません。で も、「当マンションでは大型犬も共用通路を歩かせる ことも禁止なのです。一世帯に一頭という規則もあり ます。これを見過ごすのは難しいです。」と申し上げ ました。「そこを何とか」と切々と訴えるので、それ 以上の強面(こわもて)を保つことができず、「大家 さんに相談します」と、その場を後にしました。管理 スタッフとしては、トラブルを大家さんに持ち込まず 処理すべきなのですが、よい解決策がすぐに浮かびませんでした。もう8年以上も、滞納もトラブルもなく 暮らしていただいているご夫婦なのです。大家さんに は、3ヵ月以内という誓約書を書いてもらう、106号室 から玄関までの通路だけ歩行を許可する、他の世帯に は事情と措置を書面と口頭で(管理会社が)説明す る、予期しない事態が起きたら誠意を持って対処す る、という条件で、特別に許可してはどうか、と提案 して了承をいただきました。ルールを守ってもらうことが管理スタッフの仕事ですから、この対応は自分で も甘いと思いましたが、これからのレトリバー君の身 の上を考えると、他に妙案は浮かばなかったのです。ペット可物件で起こったトラブルの一部を紹介しましたが、やはり多いのは、鳴き声、臭い、共用部を汚す、ルールを守らない、などの順になります。

ペット可物件では、ペットを飼う住人も、そうでない住人も快適に過ごすためには必要最低限のルールを遵守してもらう必要があります。

借主に納得して 署名いただくことが、ペット可とするときの前提条件 です。それでもトラブルはゼロにはなりませんので、 あとは現場に行って、素早く適切に対応することが大 事だと思っています。

\不動産の管理や売却などのお悩み、ご相談下さい!/

事前にLINEアプリのダウンロードをされていない方はアプリのダウンロードが必要となります。
当サービスの利用が初めての方は「友だち追加」を行ってください。