家を相続したくない子供と残したい親…不動産相続トラブル解決事例

「あのねお母さん、この家の件だけど、わたし相続はできないから。」

神戸市灘区に住む70代の中村さん(仮名)は、娘さんにこう言われてしまったそうです。
一人娘の幸子さんは、大学卒業後に東京で就職。そのまま結婚して、今も東京で働いています。

「わたしはもう、家族も仕事も東京だし、この家は相続しても住めないし、管理もできない…。だから、お母さんの元気なうちに処分してほしいの。」

すっかり神戸弁も抜けてしまった娘さんにそう言われて、中村さんは困り果ててしまいました。
処分といっても、どうすれば…。

…今、こうした不動産の悩みをお持ちの方が、神戸市だけでなく全国各地に急増しています。

相続か、売却か。それとも他に何か方法は?

こうしたテーマは、ともすれば難しい法律や制度の話ばかりになり、いまいち実感が掴めないことも多いですよね。そこで今回は、イメージをつかむ参考として、ストーリー仕立ての記事をお届けしていきます。

 

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大切な思い出の詰まった我が家、でも老朽化して資産価値は-親子の考え方の違い

中村さんが最初にマイホームを建てたのは、もう40年前。神戸ポートピア博で街中が賑わった、あの1981年の夏でした。
ちょうどその年の6月に耐震基準が見直されたこともあり、「最新の耐震基準で建てましたよ!」と、工務店のスタッフが胸を張っていたことも、懐かしい思い出です。

そのおかげもあってか、95年の阪神大震災でも何とか家は持ちこたえ、部分的な修繕だけで済んだそうです。以来、今に至るまで、中村さんはずっとその家で暮らしています。

亡くなった旦那さんと、一人娘の幸子さんと、家族三人の思い出が詰まった家。
あの大震災から、命を守ってくれた家。
まるで中村さんの人生そのものが、ぎっしりと詰め込まれたような、大切な家です。

願わくば、人生最期の瞬間もこの家で迎えたい。
それが中村さんの、ささやかな願いでした。

また、中村さんにはもっと現実的な判断もありました。
まだまだ元気とはいえ、もう70代。この歳になって家を売り、新しい住まいに引っ越すのは、体力的に難しいと考えていたのです。

この家を相続することになったら困る…娘の幸子さんの考え

一方で、一人娘の幸子さんは、違った考えを持っていました。

お母さんの気持ちはわかるけれど、もはや築40年の老朽化物件。
震災後に修繕はしているのものの、それからはリフォームもしていません。

たまに実家に帰省すると、どうしても外壁や作りの古さ、水回りも気になります。
トイレの扉がきしむ音を聞くたびに、「この家を相続することになったら、ちょっと困るかも…」と気がかりでした。

これだけ古い家だと、きっと売るにも売れないはず。
さらに何年も経って相続してから売却では、タダでも売れない”負動産”になってしまっているのでは…。

幸子さんは、そうした心配をされていました。

管理できない不動産は相続したくない、その理由

空き家対策特措法のニュースも、幸子さんの気持ちを後押ししていました。

「もしも実家を相続して、管理できず空き家になってしまったら、どうなるんだろう」

そんな疑問から幸子さんは、空き家問題について色々とご自身で調べていたそうです。そうした中で、2014年に制定された空き家対策特措法のこと、そして「特定空き家」問題についても知ったそうです。

空き家の所有者は、しっかりと管理する努力義務があること。
空き家の管理をせずに放置しておくと、「特定空き家」に指定され、市から厳しい措置を受けてしまうこと。

こうした法律ができたことを知って、いよいよ「お母さんの元気なうちに何とかしてほしい」という気持ちが強くなったそうです。

家を残したい中村さん、処分してほしい娘の幸子さん、二人のすれ違い

ここで改めて、中村さんのご希望と、一人娘の幸子さんの気持ちとを整理してみましょう。

中村さん(親)の気持ちと考え

  • 思い出の詰まった、大切な家を残したい
  • この歳になって住み替えは体力的にも難しい
  • せめて人生の最期は、この家で迎えたい

幸子さん(娘)の気持ちと考え

  • 神戸の家を相続しても、生活基盤が東京にあるので住めないし、管理しきれない
  • 売ることを考えても、築40年の古い家で、とても売れるはずがない
  • せめてお母さんが元気なうちに、早めに処分しておいて欲しい

どうすれば解決できる?二人の気持ちのすれ違い

さて、このお二人の気持ち、どうすれば解決できるでしょうか?

幸子さんの希望に沿って、家を売却してしまうと、中村さんの「人生の最期はこの家で迎えたい」という願いは叶えられません。
ですが、中村さんが天寿を全うされてからでは、幸子さんは望まない相続をすることになってしまいます。

「幸子さんが相続放棄をすれば良いのでは?」とお考えになった方もいるかもしれませんね。
ですが残念ながら、不動産については、相続放棄ができない仕組みになっています。

こうして考えると、「残す」場合も、「売却する」場合も、お二人とも納得のいく形にはなりそうにありませんよね。

このようなトラブルは、不動産相続でよくあるケースです。
中村さんと幸子さんも、お互いの意見を電話やLINEで話し合ううちに、険悪な雰囲気になってしまうこともあったそうです。

不動産会社の担当者が導き出した”第三の答え”-リースバック

「それでは、リースバックという方法はいかがでしょうか?」

もうどうしようもない、どうすればいいかわからない…困り果てた中村さんは、地域の不動産会社に相談されました。ご相談を受けて、不動産会社の担当者はすぐに”第三の答え”をご提案します。

売却でもなく、このまま残すのでもなく、”リースバック”。

「リースバック…って、なんですか?」

中村さんのご質問に、担当者が丁寧に答えます。

「業界用語ですから、ご存知ないのも無理はございません。それではご説明いたしますね。リースバックというのは…」

「売る」でも「残す」でもない、売って住み続ける「リースバック」

リースバックというのは、”売った家を、借家として借りて住み続ける”方法です。
家を売ったあと、今後は借家として借りる形で賃貸借契約を結びます。これにより、売却した家に、今までと同じように住み続けることができます。

この方法により、生活を一つも変えることなく、不動産の所有権を手放して、売却代金に変えることができます。

売った家に住み続けられるリースバック、でも本当に売却は大丈夫?

「…つまり、リースバックにすれば、娘さん(幸子さん)のご希望どおり、早めにご自宅を売却することができます。不動産相続のご心配もなくなります。そして、売却した後も引き続き、中村さん自身は、お引越しをせずに住み続けることができます。この方法なら、お二人のご希望を同時に満たせると思うのですが、いかがでしょうか?

担当者の説明に、中村さんは少し希望が見えてきた様子です。

「そんな方法があるなんて、私、考えたこともなかった…すごく良さそうですね。でも、売却してから借りるって言っても、本当に売れるんでしょうか?もう古い家ですし、娘もそれを心配していて…どうなんでしょう?」

「大丈夫です。ご心配ありません。中村さんのご自宅は、問題なく売却できると思いますよ。その理由もご説明いたしますね。」

この時点で、担当者はすでに”中村さんのご自宅は、スムーズに売却できる”という見通しも立てていました。

築年数の古い家でも、買い手が見つかる可能性アリ!その理由とは

「ご自宅が建てられたのは、1981年の夏。新しい耐震基準で建てられています。それに、立地も良いですよ。」

そう言いながら、担当者は手元のタブレット端末を操作します。モニターに表示された神戸市灘区の地図を指しながら、説明を続けていきます。

「…六甲道駅のお近くですね。交通アクセスも良いですし、このエリアは、まだまだ今後も発展が見込まれているんです。」

「そうなんですか?」

「はい。“神戸市総合基本計画”というのがありまして、六甲道駅周辺のエリアは、神戸の『東の副都心』として位置づけられています。つまり、これからまだまだ発展するので、不動産を買いたい人も見つけやすいんです。」

「都市計画…そんな話も関わってくるんですねぇ。確かに、暮らしていて住み良い街ですよ。でもウチ、築40年ですし、やっぱりそう簡単には…」

「ご安心下さい。ほかにもまだ”売れる理由”があるんです。リースバックにされますと、買い手としては、買ってすぐに賃貸収入が入ってくることになります。買主にもメリットがあるので、普通の中古物件よりも売れやすいんです。売却査定も収益不動産として査定できるので…」

…担当者は、中村さんの疑問に丁寧に答え、説明していきます。
中村さんも納得され、リースバックの方針で話を進めることになりました。

不動産で少しでも迷ったり、困ったことがあれば、お気軽になんでもご相談下さい

こうして中村さんと、一人娘の幸子さん、お二人の不動産相続の悩みは「リースバック」で解決できる運びとなりました。

最後に、このエピソードを通して、皆様に本当にお伝えしたいことを、まとめさせて頂きます。

それは、「不動産で少しでも迷ったり、困ったことがあれば、お気軽になんでもご相談下さい」ということです。

不動産をどうするか、相続か売却か、それとも他の方法は無いのか…。
こうした悩みは、当事者の皆様の話し合いだけでは、なかなか答えが出せないものです。

だからこそ、私たち不動産の専門家を、ご遠慮なく活用して頂きたいのです。

中村さんと一人娘の幸子さんも、お二人で話し合っている時は、「相続か売却か」で平行線を辿ってしまっていました。ですが不動産会社にご相談いただき、「リースバック」という第三の選択肢をお示しできたことで、お二人の希望を同時に叶える方法が見つかりました。

不動産会社は、不動産の専門家です。
お客様の知らない答えを、私たちが持ち合わせている場合もあります。

こうした私たちの専門性を、ぜひともご活用下さい。

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