
こんにちは!KOBE(神戸)売却ナビの恋水です。「このリフォームって、修繕費になるのかな?それとも資本的支出?」そんな疑問を感じたことはありませんか?実は、工事の費用をどう計上するかは、単なる会計処理ではなく、賃貸経営のキャッシュフローと将来の資産価値を左右する非常に大きな経営判断です。たとえば、同じ5,000万円の物件改修でも、工事内容や計上の仕方ひとつで初年度の経費が数十万円変わることがあります。これを理解しているかどうかで、節税効果も資金繰りもまったく違ってくるのです。今回は、大家さんが知っておきたい「減価償却の基本」から「国の補助金の活用法」までを分かりやすく解説します。
修繕費か資本的支出か ― 最初の分かれ道
工事費用の税務上の扱いは、大きく2種類に分かれます。
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修繕費
…原状回復や維持のための工事。発生した年度の経費として全額計上できます。
(例:壁紙の張り替え、給湯器交換、屋根の一部補修など) -
資本的支出
…性能を高めたり価値を増したりする工事。資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却します。
(例:間取り変更、外壁全面改修、キッチン大規模リフォームなど)
多くのオーナーさんが「修繕費で計上できる方が得」と思いがちですが、必ずしもそうではありません。減価償却をうまく使えば、初年度のキャッシュフローを安定させながら、長期的な節税につなげられることもあります。
附属設備を分けて計上すると節税インパクトが大きい
例えば、5,000万円でRC造マンションを取得した場合をシミュレーションしてみましょう。
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建物全体を「一体計上」した場合:初年度の減価償却は約106万円
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建物4,000万円+附属設備1,000万円で「分割計上」した場合:
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建物:約85万円
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附属設備:約66万円
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合計:約151万円
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初年度だけで約45万円も経費が増える計算です。
附属設備(給排水・空調・電気設備など)は建物本体(47年)よりも短い耐用年数(15年)で償却できるため、早めに経費化でき、手元資金を厚くすることができます。中古物件であれば「簡便法(国税庁No.5404)」という計算ルールを使うことで、さらに耐用年数を短縮できる場合もあります。これにより、投資回収のスピードを加速させることが可能です。
国の補助金や優遇制度も活用しよう
最近の賃貸経営は、補助金を上手に使えるかどうかで大きな差が出ます。
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住宅省エネ2025キャンペーン
断熱窓や高効率給湯器など、省エネ設備の改修で最大200万円の補助金がもらえる制度です。入居者の光熱費削減にもつながり、空室対策にも有効です。 -
耐震改修による固定資産税の減額
1982年1月1日以前に建てられた建物で、一定の耐震改修を行えば翌年度の固定資産税が最大2分の1まで減額されます(2026年3月31日までに工事完了が条件)。
こうした制度は、コストを抑えながら物件の競争力を上げる大きなチャンス。
ただし、補助金を使った場合はその分を資産の取得価額から控除する必要があり、将来の売却時の取得費にも関わるため、必ず税理士に確認しておきましょう。
注意したいグレーゾーン工事
クロス全面張り替えや大規模な間取り変更などは、修繕費か資本的支出か判断が分かれやすい典型例です。安易に見積書を分割して経費計上すると、税務調査で否認されるリスクがあります。判断の目安としては、
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原状回復目的かどうか
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性能向上や資産価値増加があるかどうか
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工事規模や費用が過大でないか
がポイントです。グレーな場合は必ず専門家へ相談しましょう。
キャッシュフローを守りつつ物件の価値を高める
節税だけを目的にすると、長期的な戦略を見誤る可能性があります。
例えば、過度に修繕費化すると、将来の売却時に取得費が減ってしまい、譲渡所得税が増えることもあります。逆に、耐用年数を短くして計画的に減価償却することで、手元資金を確保しながら物件の競争力を維持する道もあります。特に今後は、断熱性・防犯性・ネット環境などの住宅性能が入居率を大きく左右する時代です。税務上有利な工事と入居者ニーズを同時に満たす改修ができれば、賃貸経営はぐっと安定します。
まとめ
リフォーム費用の計上は「単なる経費計算」ではなく、オーナーの経営判断そのものです。
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附属設備の分割計上で早期に減価償却を進める
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国や自治体の補助金を活用しつつ設備投資を効率化する
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修繕費と資本的支出の線引きを正しく理解する
この3つを押さえるだけでも、キャッシュフローを守りつつ物件の資産価値を高めることができます。「うちの工事はどこまで経費になるのか?」と迷ったら、早めに税理士や不動産専門家に相談しましょう。先を見据えた投資と税務戦略が、安定した賃貸経営のカギになります。
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